元夫は、しばらく帰ってこなかった。
手ぶらで出て行ったから当然連絡もない。
鍵も持って行っていない。
鍵は開けたままにしていたけど
段々暗くなり始め、
いつ帰宅するのかわからない。
そろそろ子供をお風呂に入れたいし。
と思い、鍵を閉めた。
するとタイミング悪く
元夫はその後すぐ戻ってきた。
鍵が閉まっている事がわかると
ピンポンピンポンピンポン
連打し、ドアを叩きながら
開けろよ!ふざけんなよ!
いやがらせかよ!
と言っていた。
私はそんな姿を
どこか冷静にモニターで見ながら
インターホン越しに伝えた。
「怖くてドアを開けられない。
近所迷惑だから大きな声はやめて。」
はぁー?ふざけんなよ!
わざと鍵閉めやがって!
思い切りガンッ!
と玄関を蹴る元夫。
「わざとじゃないよ。
お風呂に入ろうと思ってさっき
ちょうど閉めたんだよ。
今からお風呂に入って、
出たら鍵を開けておくから、一旦落ち着いてよ?
冷静になってから帰宅して。お願い。」
ガンッ!
玄関を蹴ってからまたどこかへ行った。
私の心臓は、またバクバクしていた。
とにかく、さっさとお風呂に入って
また鍵を開けておかなければ。
必死だった。
足早にお風呂から上がり、すぐ鍵を開けた。
しばらくすると元夫が帰宅した。
元夫は何事もなかったように
私が用意していた夕飯を無言で食べ終え
お風呂に入るなりすぐ部屋に篭った。
うらやましいな。と思った。
喧嘩をしても
謝らなくても
当たり前のように
夕飯が用意されているんだから。
1人でどっか行って
好きなタイミングで寝られるんだから。
本当は、夕飯なんて用意したくなかった。
また激昂される方が面倒だっただけ。
その後しばらく冷戦状態が続いた。
この時もやっぱり
少し時間が経ってから話し合おう。
と歩み寄ったのは私からだった。
こういう事があった時
元夫から歩み寄ってきたことは
一度もなかった。